2015年10月11日日曜日

必要に迫られて・・・分数バイオリンの修理(2015/10/04)

【久しぶりのバイオリン】
娘が4歳になったので、バイオリンの体験レッスンを予約しました。
予約の時に色々と相談したら、身長からバイオリンのサイズは1/16がちょうど良いとのこと。

3歳からレッスンに通わせる思惑が、通えそうなバイオリン教室が「4歳からです」と1年待っているうちにサイズはが変わってしまい、いきなり1サイズアップ(1/32→1/16)してしまいました。
レッスンを受けさせる親としては、1/32サイズのバイオリンは弾くのがほぼ無理なのと、鳴らないのでホッとしているのも事実です。


【修理しないと!】
実家で大切に保管のされていた楽器です。
ラベルを見ると、「KISO Suzuki Violin」で1974年製みたいです。

四半世紀以上、保管のという名のもと放置されていた個体です。

1年位前にバイオリンを習いたいと言っていたお子さんに、貸してあげようと持って行った時に、指板が剥がれてしまいました。
娘が放り投げたのが原因ですが、目の前でバイオリンが壊れたときのお子さんの表情が・・・
そのうち直そうと、指板とネックが変に曲がらないようにと、テープで固定したままになっていました。

やはり「そのうち」ってのは、そのままほうちですねぇ。
レッスンが週末に迫り、重い腰をあげました。


【先ずは状態確認】
指板とネックは反りや捻れもなく、被害は拡大してはいませんでした。
古い膠(と思われるもの)を削りおとし、付け直すだけで良さそうです。
ついでに、少しだけ指板の裏側のえぐりを大きくして、軽量化しておきました。

【テールピース交換】
当時はアジャスター内蔵のテールピースなんてものはありませんでしたので、アジャスター4連掛けなんてことになっていました。
アジャスターに弓を引っ掛けたり、弦を金属で押すので切れやすかったりするので、テールピースも交換することにしました。
ネット通販で頼んだので現物をみておらず、弦はボールエンドかループエンドのどちらにすれば良いのかがわかりませんでした。
 長さがだいぶ違い弦長が変わると思いましたが、可能な限り後ろ目にセッティングするしか手はありません。
何かできることはないかと元からついていたテールピースを見ると、何かの端材で作られています。
弦のボールエンドは通るほどの大きさの穴はなく、裏から通さなければならない作りです。
テールガットは何かの紐に着色してありました。

これと比べれば、多少テールピースが長い位どうってことないと思い、できる限りのセッティングで済ますことにしました。


【弦の交換とペグの調整】
当然のことながら、弦も四半世紀は経っているので交換します。
ネット通販で、ナイロン弦の4本セットを入手しました。

ペグは柘植っぽい感じですが、よくわかりません。
弦の通る穴はただ開けてあるだけで、穴あけした時のバリが残っています。
(一体どうしたら40年も前の楽器で、バリが残っているのか?)
ナイロン弦にしたせいかバリにひっかかり通し辛いことこの上なしです。

ペグ自体は機能しているので、バリだけ取っておきました。
念のため、コンポジションを塗り、慣らしておきました。


【顎当て】
顎当ては、外してみたら割れかけてます。
アロンアルファの登場です。
これで、どうにかなりました。

【エンドピン】
もう1箇所アロンアルファが活躍しました。

テールピースを外して交換とするついでに、エンドピンを抜いたら、緩くなっています。
どうやら、木が縮んだ様子です。

アロンアルファコーティングの出番です。
アロンアルファを塗って、紙でグリグリと均します。
3回やって、まぁまぁな感じになりました。

【魂柱が傾いているような】
エンドピンを抜いて覗くと、何となく傾いているような気がします。
もっと良く見ようと思ったのですが、バイオリンが小さすぎ持っている道具が一切f字穴から入りません。

手も足も出ませんので、弦を張って様子を見ることにします。
裏板、表板の剥がれが無いかどうか、パフリング周りをコツコツとしてみたり、音叉を当ててみたりするとビビリ音が・・・!
楽器を振ると、中で何かが動く音がします。

小さなf字穴から、何とか出しました。
何となく、ライニングの破片のようです。
取り出した後、コツコツと叩いてもビビリ音は確認できませんでした。
どうやら、この破片がが原因のようでした。

【駒】
新しい弦を張り、チューニングをすると駒が動いてしようがありません。
娘のペン立てから鉛筆を借りて、弦のあたる部分に色をぬります。
着色が目的ではなく、鉛で滑りを良くしてあげました。

【試奏】
低音の鳴りは弱いですが、まぁ音が出ます。
とりあえず、レッスンを始めるには何とかなりそうなので、これで良いのかとりあえずしましょう。

【弓の毛替え】
毛替えはリングが外せなかったのと、工具を新たに作らないとこれ以上作業ができないので、張り替えてもらうことにしました。

バイオリン製作を習い始める前に、張替えをお願いした最寄りの工房に持ち込みました。
今日中できますか?とお願いすると、よっぽどの事がない限りやってもらえるので、お願いしました。
ついでに、バイオリン教室の情報こともできそうだし・・・

毛替えが終わった弓には、よ〜く松ヤニを擦り込んでおきます。
新品の毛に、新品の弦だと、滑って音が出ません。
1/32サイズと比べ、倍の音量はありそうですし、準備完了です。

【レッスン初体験】
前日になりましたが、楽器も揃い体験レッスンに行ってきました。
1歳の時のクリスマスにバイオリンを与え、刷込みをした成果が出ました。
(家にはバイオリンがあるものだという価値観の刷込み)
先生に慣れていないながらも、ちゃんと構えて、音を出すことができました。

これで上手くいけば、弟も真似してバイオリンを始めることでしょう!

先生からのアドバイスで、肩当てはあった方が良いとのことでした。
肩当てあり派、なし派のどちらが正解かは判りませんが、少なくとも初心者にはあった方が良さそうです。
お奨めを聞いたらKUNだそうでしたので、早速買おうとしたら残念ながら在庫切れ。
こちらも又、ネット通販です。
明日には届きそうです。


修理の工数:0.5人日未満
部品代など:テールピース、ナイロン弦、毛替え代