2010年1月30日土曜日

指板の裏削りとか・・・(2010/01/30)

今回は、バスバーの接着の予定でした・・・が、先週時点で既に遅れています。

ので引き続き、指板を仕上げていきます。
先週、膠ではりつけた材料を、まずは形にしていきます。

(1)最初にネックと当たるところの面出し
 確認したら、ネック側も完全に平ではありませんでした。
 最終調整を別途する前提で、ほどほどにしておきます。

(2)エンド側を平にします
 既に削り過ぎで幅が不足しているので、後ろ目に材料をとりたいと思います。
 自在スコヤを使って、左右の角度が一致するように削っていきます。
 ナイフと鑿で大まかに削った後、鑢とサンドペーパーで調整していきます。

 片側の角度を測って(↑)、反対側に合わせてみて(↓)、隙間がなければOKです。
(3)長さ出し
 247mmにします。
 これは、出したい音から弦を押さえなくてはならない長さを計算します。
 まぁ、少しくらい長くても問題はありませんが・・・

(4)ナット側を平にします
 エンド側と同じように、左右が対象になるようにします。

(5)幅の調整
 ナット側を25mm幅、エンド側を42mmにします。
 ナット側は調整もせずに25mmでした。
 エンド側は40mmしかありません。
 ないものは無いので、しょうがありません・・・
 左右1mm位であれば、演奏には支障がないでしょう・・・

この後は、指板の裏削りに入っていきます。

が、ここで、新聞の取材をうけていました。
テーマは仕事を持っている人の趣味らしいです。
日本バイオリン製作協会に取材のお話があったそうですが、協会の方々は悠々自適に趣味に打ち込んでいらっしゃるらしく、現役で仕事をされている方がいないということで、学校に相談が持ちかけられれたそうです。

何だかんだいって、小一時間程、取材を受けていました。

更に、偶々なんですが、学校でミニ・コンサートがあり、こちらも少々覗いてから授業に戻りましたので、本日の製作時間は大分減ってしまいました。


次は、指板の裏削りとかです。

バロックバイオリンンの指板は独特の形をしています。
ネックから後ろに向かって、なだらかなカーブを描いているのですが、曲線の始まる部分に刻みが入っています。

まずは、デザインを決めて書きます。
その後、刻みを掘るのですが、これがなかなか遣り辛く、ナイフと平鑿である程度削ってから、横向きに丸鑿で削りとっていきました。
最後は、ナイフで微調整です。

刻みができたら、鑿と鉋でなだらかなカーブを作っていきます。
最終的には、指板の弦が当たる側のカーブに沿って円く掘るのですが、横から見た状態でなだらかなカーブをまず作らないと、左右がおかしなことになってしまいます。

バンドソーで切ってしまえば楽なのですが、手彫りしていったので、以外と時間がかかっています。
更に、スプルース部分(真ん中)の木取り方向を間違えているので、木目で道具が跳ね返されて、なだらかなカーブが作りにくいことこの上ないです。

結局時間切れとなったので、後は宿題です。
と、いっても来週も授業にこれなさそうなので、テンコ盛りです。
 
 

2010年1月23日土曜日

指板の貼り合わせ(2010/01/23)

先週の続きで、指板に黒檀を張り合わせていきます。

膠ではりつけていきます。
(1)材料を軽く温めて
(2)手早く、たっぷりと膠を両方の材料に塗り
(3)紐でぐるぐる巻きにします

今回は、黒檀にヒビが入っているので、一部はクランプで締めています。


指板ができたら、今度はテールピースを作ります。

バロック時代のバイオリンでは、指板やテールピースに黒檀を使っていないものもあります。
当時使われていたガット弦は、現在のガット弦より指板へのあたりが柔らかいからだそうです。


テールピースは、スプルースと黒檀で作ります。
指板と違って、メープルは使いません。
理由はというと、ある程度重さがある方が良いので、軽いメープルは使いません。

まずは、材料を糸のこで切り出して・・・
おおまかに削ります。
なんとなく、形ができてきたら、鉋と鑢で整えていきます。
テールピースの曲りは95rくらいだったと思います・・・

後は、黒檀を曲げて、膠で貼り付けます。


テールピースも、黒檀を一部割ってしまいました・・・

表から見て判らない程度だったので、そのまま使うと思いますが、その判断は乾いてからですね。


膠付してから教えてもらったのですが、バーナーで炙って曲げる時に、上手くコントロールできると自由にカーブ作れるそうです。
材料次第なのかと思っていたので、全く気にしていませんでした・・・

2010年1月16日土曜日

指板の作成の続き(2010/1/16)

本日は、指板の作成の続きをしました・・・

まずは、ベースとなる部分の成型です。

先週、膠付した部品を、指板の形にしていきます。
ネック側は35Rの丸みで幅が25mm、エンド側は52Rの丸みで幅が46mmにしてゆきます。

が、いきなり、削り過ぎで、エンド側は40mm程度しかありません・・・
削ってしまったものは、もう元には戻らないので、そのまま進めます。
(既に、板目の取り方も間違っているし・・・、間違いだらけの指板です)

このときの注意としては、丸みよりも、縦方向の真直ぐさを気にした方が良いとのことです。
と、いうのも、黒檀の板を曲げて貼り付けるのですが、3次元には曲げられないので、どちらを取るかというと当然横方向の丸みしかありません。
ここまでできたら、今度は黒檀の板を曲げます。

黒檀は固いので、横板のように熱と力で曲げると、簡単に割れてしまいます。
どうするかというと、濡らした状態で炙ってあげると、勝手に曲がってきます。

曲げる時のポイントとしては・・・・
(1) 片面は常に濡れた状態にする
(2) 炙る側は乾くまで炙る
これだけです。

バーナーを使って炙っていたのですが、最初は耐熱煉瓦の上でやっていました。
この耐熱煉瓦が曲者で、水分を吸い取ってしまいます。
気づかない内に、両面が乾いた状態になっていました。

なんだかんだ30分以上かかって、やっとこさ曲がりました。
曲げる角度ですが、指板より気持ち曲がった位までです。


ここまでできたら、指板の大きさに切り取って膠付です。

指板に黒檀の板を合わせていたら、「ピキッ」という音とともに割れてしまいました・・・
割れた部分がそれほど大きくなかったので、なんとか指板としての大きさが取れそうです。
ヒビをよけて、糸のこで切ることにします。

曲がった板は抑えにくいとおもいつつ切断していたら、最後の最後で「ピキッ」という音と共に、別の部分が割れてしまいました・・・
今度は、もうどうしようもありません。


高倉先生に相談したところ、黒檀の粉と接着剤で修正可能だとの事。
ついでに、節があった部分も同様に修正できるそうです。
もう、すでに間違いだらけの楽器ですので、イレギュラーの対応をすることにします。

が、本日の授業は時間切れなので、とりあえず指板と黒檀を固定して癖を付ける仕掛けをしてお終いにしました。


次週は、指板の膠付と、テールピースの作成になる予定です。

2010年1月9日土曜日

指板の作成(2010/1/9)

今回から、新しく河村先生のクラスに編入(?)しました。

が、引き続きバロックバイオリンを製作しています。
バロック独自の部分については、高倉先生が個別に教えてくださいます。


【まずはじめに・・・】
指板の図面作成からです。
指板の長さをどうするか?から開始です。

既に作成したネックは、モダンと同様に130mmになっています。
(一般的なバロックからすると、大分長いのです・・・)
ですので、欲張ってE'''まで出せる長さにします。
(バロックで弾く曲で、これより高い音は出さないらしい・・・)
計算すると、247mm位になるので、指板の長さはとりあえず250mmにしてみます。
で、作成した図面がこんな感じです。


【材料の切り出し】
バロックバイオリンの指板は、スプルースをメープルでサンドイッチしたものにエボニーが張り付いています。
ですので、まずは、スプルースとメープルを切り出して整えます。
図面に合わせて、材料を切り出していたら、面出しができれば、あまり寸法には拘らずに作りましょうとのこと・・・
(バロック時代はそんなもんだったらしい・・・)
前回、木取りについて聞いていたので、それをベースにやってみたら、思いっきり間違えていました。
この絵を基にしたのですが、これはメープル部分だったので、スプルースは木目を縦にするべきだったようです・・・
要するに、メープル/スプルース/メープルの木目が、横/縦/横になるようにしてあげるべきだったのです。
もう、材料も気持ち良く切ってしまった後だったので、指板を厚めに作ることでお終いにします。
面出ししたもの同士をクランプで締めてみて、隙間がないようであればOKとします。

人のを見たら、ちゃんと横/縦/横になっていました・・・・
図面には、木目の向きまで入れないと駄目ですね・・・・

(余談)
スプルースの代わりに、柳を使う場合もあるそうです。
虫がわきやすいのと、柔らかいので粘りがある指板になるそうです。


【今日の応用】
スプルースの面出しが2面終わり、3面目を鉋がけしだしたところ「ピキッ!」と変な音が・・・
見たら、スプルースが割れていました・・・・
あまり、圧力をかけると割れるらしい・・・

割れてしまったものはどうしようもないので、直すor諦める。
確認してみると、後で削り落す場所が割れているだけでした。
と、いうことで、単なる応急処置です。

瞬間接着剤を流し込んで、クランプで締めています。
応急処置にはやっぱり瞬間接着剤ですね~

【膠付】
3つの部品があるのですが、二つずつ接着します。
膠は滑るので、片方ずつやった方が失敗が少ないそうです。
と、いうことで片方ずつ、1時間半程度間を開けながら、くっつけていきます。

1時間半の間は、少々休憩をして、テンプレートを作っていました。

一応、今日のノルマまでは終わりました・・・
次週は、黒檀の曲げです。